【不動産屋監修】相続登記の義務化・簡素化を世界一わかりやすく解説!

あなたは、今相続登記について調べたくてこの記事に辿り着いたのではないでしょうか?
または4月から始まった新しい相続登記が気になってこの記事を見つけてくれましたね。

実際、相続登記という4文字。

正直、これを見ただけでもなんだろうこれ?と思っている人がいらっしゃると思います。
個人的な意見でこれは日本の悪いところだな。なんて思っているのですが、「確定申告」のように実際は大したことしていないのになんだか難しいそうな言葉で困惑させているルールが多すぎます。

「相続登記」これもその1つです。

まずは、相続登記とはなんなのか。4月から始まった相続登記義務化とはなんなのか。
不動産業者としてはどうとらえているのかなんていう僕自身の意見も交えて世界一わかりやすくお話したいと思います。

どの記事を見ても、ピンとこなかったあなたの参考になれば幸いです。

目次

相続登記とは

相続登記とは、亡くなった人が持っていた土地やお家などの名義を相続人に変更をすることを言います。

実はこの物件は誰が持っているかというのは法務局と言われる国の団体が管理している「登記簿」という書類に記録がされています。
なので、不動産を相続した人が名義を変更しないとここにお伝えしなきゃいけないですよね。

法務局に

おじいちゃんが亡くなったから物件の名義が俺に変わったぞ!!

と法務局に伝えないといけない作業。これが相続登記です。

ただ、本来は必要なこの作業を今までは特にペナルティなどもなかったせいかまぁやらなくてもいいかとなぁなぁになっていた部分がありました。

その対策として始まったのが「相続登記の義務化」になります

2024年4月から始まった相続登記の義務化とは

この相続登記の義務化というものは既に始まっています。義務化することによってなにが変わったのか。以下の3つをまずは抑えておいてください。


・相続登記の手続きがカンタンになった
・相続登記をしなきゃいけないのにやらないと罰則がつく
・過去の相続分も対象になった

相続登記の簡素化

今までは相続する予定の人が何名かいた場合、全員集まり、全員分の申請をする必要がありました。
こうなるとなんとなく想像にたやすいですが、

  • 用事があって全員集まれない
  • 意見が割れる

など時間が取られる要素が沢山ありますよね。
今回の簡素化では、相続人の1人が代表をしてまとめて相続登記をすることが可能になります。

相続登記義務化による罰則

不動産の相続をしたことを知った時から3年以内に相続登記の申請をしなければならず、正当な理由もなく期限内に申請を行わないと10万円以下の過料が課されることがあります。

僕もよくやってしまいますが、「期限があるからまだ大丈夫でしょ~」と後回しにしていると過料を払わなくてはいけなくなる可能性があるので気を付けてください。

過去の相続分も対象になっています

4月1日から始まったこの義務化ですが、4月1日以前の相続にもさかのぼって適用されてしまいます。

仮にこの記事を見ている時点でもしも心当たりがある場合は、放っておかずに今すぐ登記しているかの確認をしておきましょう。
ちなみに、過去の相続分のパターンは、

・相続を知った時
・相続の施工日

のどちらかの日付けの遅い日を基準に3年以内に登記する必要があります。

相続登記義務化の背景

「これ誰の土地なんだろう…。」と国がいまいちわかっていない土地の言うのは平成28年の時点で約20%ほどあります。

管理している国としては誰のかわからない土地には手をつけられません。
そうなると回りまわって僕たち国民にもその影響が出てきます。

例を挙げると

・土地の売買が進まなくなる
・公共事業が進まなくなる
・何かあった際の復旧・復興工事が出来なくなる

を皮切りに酷い所まで行くと不法占拠などの問題にも繋がり治安の問題にも関わったりしていきます。

上記のような状態になりそうな土地が約20%もあると言われるとちょっと視点が変わってきますよね。

この「誰の土地なのか」問題の原因の1つに挙げられているのが「相続しても登記をしていないこと」だと言われています。

登記されずに本来持ち主だった方が亡くなったらという状態が何世代にも渡って行われてしまうと「もうどうすればいいかわからない」状態になります。

そんな状態を打破しようとしたのが今回の「相続登記の義務化」です。

相続登記義務化の救済策と問題点

相続人自身が音信不通だったパターンや複数人いてなかなか相続の話し合いが決まらない場合など相続登記をしたくてもできない場合ももちろんあると思います。そういった方のために今よりも簡単に相続登記が出来るような対策があります。

相続登記の救済策

新たにより簡単に相続登記義務が履行できるように「相続人申告登記の申し出」の制度が創設されました。

この制度を使い、「俺、不動産の相続人だよ!」と法務局に申し出れば、相続登記義務をしっかりと行ったことになります。
1人の場合だけでもなく、複数人相続人が要る場合も1人が申し込めば申し込んだ人は履行されたことになります。例として、3人いて1人だけこの制度を使い申し込んだ人場合、申し込んだ人のみが適用されると言ったイメージです。

またここで1つ注意点があり、この制度の申し出とは「俺、この不動産の相続人の1人だよ!」と名乗っている状態なだけであって、不動産が自分のモノになったわけではありません。第3者から見ても所有権がわかるようにしたい時は、正式な相続登記を申請する必要があります。

救済というより応急処置に近いイメージを持って利用してください。

相続登記義務化の問題点

相続登記義務化の問題点はいくつもありますがパッと思いつく2つを挙げていきます。

前述で話した複数人居た場合、全員がまだご存命であればいいのですが、例えば何世代も前から登記をされていない土地や物件に対してはどうでしょうか?
今あなたが思っているよりも相続人が増える可能性もあります。この場合、ただでさえ特定するのも難しいのに話し合いもろくに出来ない。費用もかさんでしまう。と簡単になった義務化はただ「複雑化」してしまう問題点がまず1つ。

仮にその相続人が何世代にも渡り要る場合、じゃあ義務の所在はどこにあるの?誰にあるの?という問題も出てきます。本来は不動産を取得した人が行うべきとされていますがじゃあどこまでさかのぼるか?誰が義務を遂行すればいいのか。その所在を判明させるためにさらに負担がかかってしまう可能性があるというのがもう1つの問題点です。

不動産業者から見た相続登記義務化

現在、所在がわからないと言われている土地は全体の20%ほどと言われております。
こうくるとあまりピンとはきませんが、この所在のわからない土地の面積が九州全体より大きいと言われるとどれだけスケールの大きいお話かなんとなくは分かるかと思います。

僕たち不動産業者から見た義務化については思うことがいくつかあります。

・不動産売買の活性化
・不動産営業の激化
・「悪徳」不動産の誕生

不動産売買の活性化

シンプルな話で誰が持っているかわからない土地や家の所在がわかるようになれば、この土地を売っちゃおうという地主も現れるかと思いますので、不動産売買はもちろん、今まで使えなかった土地の活用などが今より断然進みやすくなります。

不動産営業の激化

誰のモノかわかった土地がもしも「誰か」にとってはとんでもない価値がある物件だったら…?
もしかしたら登記をした瞬間からあなたに不動産営業が来るかもしれません。1社や2社じゃなく何社も来るかもしれません。今以上に不動産営業が激化していくのではないかと簡単に推測されます。

「悪徳」不動産の誕生

今でもイメージはあまり良くない不動産業です。さらに不動産投資詐欺なんてものもゴロゴロとあります。
ここに拍車をかけて新しい「悪徳」不動産屋が誕生する可能性があります。

特に高齢な相続人は対して本来は良い土地なのに安く買いたたくと言った相続人に対して不利な条件での売買を知らぬ間にさせられている可能性もあります。

正直、僕もこの業界に入るまでそうでしたが、不動産や建築関係ってかかる費用が莫大なのでどこにどんな利益が乗ってる費用がかかっているなど分からない人が圧倒的多数かと思います。

もしも、なんだか怪しい話があった場合は当社はもちろん、知り合いの不動産屋さんにセカンドオピニオン的な感じで意見を求めていきましょう。もっと価値のある不動産だったのについつい高額な価格につられて買ってしまって後悔することになるかもしれません。

まとめ

・4月1日から不動産登記が義務化された
・義務化により罰則がつくようになった
・過去の相続分も対象に
・場合によっては何世代も前に相続をさかのぼることになり痛い出費になる可能性がある
・悪質な不動産屋には気を付ける

冒頭でも言いましたが、日本の制度は大して難しくないものを難しく言ってしまうことが多々にしてあります。
噛み砕けば「めちゃくちゃ簡単に相続登記できるようになったからみんなちゃんと登記してくれ」という制度です。

今回の記事を見て、なんとなくわかった方は更に法務局などの文面を読んでみると今まで理解できなかったことが理解できるようになるかななんて思います。
少しでもあなたの役に立てれば幸いです。

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